オランダの世界最大半導体製造装置メーカーASMLに中国のスパイ

オランダの経済紙フィナンシエール・ダハブラット(Het Finacieele Dagblad、FD)が報じたニュースによれば、世界最大の半導体製造装置メーカーであるASMLで複数の中国人従業員が大規模な機密情報を盗んだという。容疑者らは同社でも上級職についていたが、調査によれば中国の科学技術省とのつながりがあった模様。

被害総額は数億ユーロと見られ、オランダ企業での機密漏洩では史上最大規模。企業秘密を盗んだと見られる中国人はアメリカのサンホセにある同社の拠点を通し数年にわたり内部ネットワークに侵入していた。ソースコード、ソフトウェア、価格戦略、マニュアルなどを盗み取っていたと見られる。

スパイ行為は2014年に設立されたASMLの競合であるXTAL社が指示したという。XTAL社はASMLで働いていた中国人従業員が設立したもの。XTAL社は盗んだ情報を利用し、驚くべき速さで市場を広げただけでなく、サムソンなどのASMLの顧客をとっていった。

カリフォルニアの裁判所は2018年にXTAL社に対し2億2300万ドルの罰金を課している。FD紙によれば、この事件には中国政府が間接的にからんでいるという。

ASMLは、オランダ南部・フェルトホーフェンに本部を置く半導体製造装置メーカーである。半導体露光装置を販売する世界最大の会社で、16ヶ国に60以上の拠点を有し、世界中の主な半導体メーカーの80%以上がASMLの顧客である。

FD