オランダのソーシャル・ビジネス成長

社会問題の解決を目的として収益事業に取り組む事業体である社会的企業(ソーシャルビジネス)がオランダで成長している。ソーシャルビジネスは理想をかかげるだけの小規模な企業と思われがちだが、最近では大企業でもこの取り組みが行われている。世界の環境問題や社会問題の改善を目指すソーシャル企業の売上は過去2年で約25%上昇している。本日発表されたソーシャル企業モニター2015の報告書によれば、調査対象となったソーシャルビジネスを行っている企業300社では、売上のみならず従業員数も36%増加している。300社の売上合計は4億7600万ユーロ、従業員数は10709名。このうち40%が利益を創出している。損失を出している企業のほとんどはまだスタートアップの段階である。

ソーシャルビジネスは2つのカテゴリーに分類される。ひとつは、新規の社会的製品やサービスを提供するビジネス。もうひとつは製品やサービスを社会的視点で製造したり提供したりするビジネス形態。両者ともソーシャルビジネスと見なされている。
オランダのソーシャル・ビジネスの例としてあげられるのが、奴隷労働を使わないカカオを原料にしてチョコレート製造の「Tony’s Chocolonely」、環境に配慮したローカルフードを販売するスーパー「Marqt」、倫理的素材調達を行って携帯電話を製造する「Fairphone」など。このほかにも、地元の食料生産を促進する「Uit je eigen Stad」から発展途上国でのSMSサービスを行う企業「TTC」などが有名である。
これらの企業は、発展途上国における児童労働や奴隷労働を使う搾取的な生産に反対し、まっとうな方法で生産を行うことを目指したり、環境を破壊しない農業を推進させようとするなど、利益追求のみを目的とし手段を問わない企業とは正反対に位置づけられる。

ソーシャル企業モニター