オランダ司法大臣と副大臣ダブル辞任

オランダの安全司法省大臣イフォ・オプステルテン氏と副大臣であるフレッド・テーフェン氏が、2001年に起きた麻薬密売人に対する司法取引による支払いに関し国会で明確な弁明ができなかったことを受け昨夜辞任を表明した。この麻薬密売人ケース・ヘルマンは政府が政府が押収した金額の一部を司法取引として受け取っており、この金額はルクセンブルグの秘密口座に税務当局の関与なしに政府から送金されていた。この件が明るみに出た時にオプステルテン氏は詳細の書類は見つからなかったと発表したが、実際にはメディアの調査で証拠書類が存在することがわかった。2001年当時、テーフェン副大臣は検察で検事としてこの司法取引に関わっていたが、当時のことは忘れたと国会にて弁明していた。

この2人は首相のマーク・ルッテ氏の属する中道右派自由民主国民党(VVD)の議員であり、この辞任は18日に行われる地方選挙に大きな打撃となる。VVD党は現在ウィルダース氏の率いる極右の自由党(PVV)党からの追い込みにすでに苦境に追いやられているが、今回の大臣と副大臣の辞任は逆風となる。
さらに自由民主党(VVD)との連立政党である労働党(PvdA)はオプステルテン氏とテーフェン氏に対し批判的であったが、今回の辞任でさらに連立に亀裂が生じることとなる。

2001年に麻薬王ケース・ヘルマンが470万ギルダー(210万ユーロ)をオランダ政府から実際に違法取引によるものであることが立証できないとして返済されていたが、オプステルテン安全司法省大臣は送金額はこの金額より少ないと主張していた。さらに支払いの詳細は見つからないと国会にて述べていた。しかし月曜日オプステルテン氏は送金の記録が見つかったとこれまでの陳述を否定する発言をした。「証拠書類はもっと早く見つけられたはずだった。この責任をとり国王に辞表を提出する。」と辞任発表となった。麻薬密売人であるヘルマンから押収した金額が実際に違法な取引によるものであることを当局は証明できなかったとし、ヘルマンの秘密口座に返金が行われていた。そして当時の検察の担当者が現司法省副大臣であるテーフェン氏であった。送金は違法であったかどうかは現時点ではまだ不明だが、オプステルテン大臣とテーフェン副大臣がこの件につき証拠書類の不在を主張したことが、今回の辞任に繋がった。