安楽死の自殺薬Xを提供する団体、裁判へ

オランダには人生の最後を人間的に実現させようとする団体「ラスト・ウィル(Coöperatie Laatste Wil )」というのが存在する。肉体的・精神的な苦痛に耐えられず、それでも安楽死は認められないという人が自分の死は自分で決めようというのが目的だ。

8日月曜日、人道的に死ぬ方法として致死性麻薬Xを宣伝したとして、ラスト・ウィルの7名が法廷に出廷する。自殺用の薬剤Xで愛する人を亡くした親族グループは、一刻も早い販売禁止を求め、今週オランダ政府を提訴している。原告はこの薬Xで親族をなくした人からなるXimena’s Vlinder財団で、これまで国がラスト・ウィル団体に介入せず、この自殺用麻薬Xを数年にわたり放置していたとして告訴している。

実はこの薬物Xは、実験室や食品業界で防腐剤として安全に使用されている。ただ大量の使用は致死の可能性があるため個人への販売は禁止されている。原告側は、禁止はされているもののインターネット上で簡単に入手できるとし、政府の管理の甘さを非難している。

UMCユトレヒトの国立毒物情報センター(NVIC)の数字によると、近年薬物Xを服用した人の数は2017年以来大幅に増加している。現在少なくとも 50 人がこれで中毒自殺をしている。ただしこの数字は実際に医師が同情報センターに相談した場合のみなので、実際はもっと多い。

オランダは、2002年に世界に先駆けて、望む人に医師が薬物の投与などをして死に至らしめる「安楽死」を条件付きで認める法律を施行した。 いまでは国全体で亡くなる人の3%程度が、安楽死している。 条件は、患者が不治の病に罹り、耐えられない苦痛に苦しんでいて、自分の生命を終焉させてほしいと要請している場合だ。ただ条件にあってもすぐに安楽死が認められるわけではない。