オランダ、組閣は間近? 残るは「人生を全うした人の安楽死」と「胎芽検査という医療倫理」での合意
総選挙から5ヶ月、3人目の仲介役を投入後組閣にもやっと光が見えてきたようだ。4党の連立政権では各党が方針の違いをどれだけ歩み寄れるかが焦点となる。現在もっとも障害となっているのが、「安楽死」と「医療倫理」に関する問題だ。とくに、この問題にリベラルな立場をとる民主66(D66)党と、強いキリスト教倫理のもとに政治を行おうとするキリスト教連盟(CU)の完全合意は困難だ。
D66党は、治癒の見込みのない病にかかっている老人への安楽死適用だけでなく、人生を全うしたと考えている(そして孤独な)老人へも安楽死(自殺幇助)を適用させようと考えを支持している。これに対しキリスト教連盟は強く反対。さらに同党は、生まれる前に将来の病気を予測する胎芽検査に対しても反対している。組閣が成功しても、前政権が進めようとしていたこの2点は合意にいたらず、施行される可能性が低くなった。オランダ各紙は、両党の歩み寄りと妥協で組閣を進めるために、今期安楽死と胎芽検査に関する立法は行わないという秘密裏の決定がリークされたと報道している。
妊娠中の胎芽の検査については、遺伝性の重傷の病を防ぐ目的でにすでに行われている。前健康省のスヒッペルス大臣は、遺伝性乳がんの発見など検査の拡大すら提唱している。