【お天気コラム】雨の季節

雨の季節

今年の秋は雨が多く、10月は1906年の観測開始以来、最も多くの雨が降った所もありました。オランダでは秋と冬に雨が降りやすい傾向があります。平年降水日数(日降水量が1㎜以上の日数)を東京と比べてみると、その差は歴然。特に11月から2月にかけて大きな違いがあり、東京からオランダに来ると雨の日の多さにうんざりする方も多いのではないでしょうか。

ところが、日本海側と比べると話が変わってきます。新潟の平年降水日数はオランダ同様に秋と冬に増加し、オランダよりもはるかに雨や雪の日が多いのです。ちなみに、雪が降った場合は、雪を雨量計で溶かして降水量として観測しています。

雨の日が多い理由

オランダと新潟に共通するのが、どちらも「暖流」の影響を受けているということ。オランダは「北大西洋海流」、新潟は「対馬海流」の影響で、比較的温かい海に面しています。(温かい海と言っても、オランダの場合はハリケーンが発生・発達するほどの温かさではありません。)

冷たい空気が海で暖められることにより、温泉の湯気のように水蒸気の供給を受けて雨雲が発生します。この雨雲が次々と通るため、雨が降ったかと思えば晴れ間が出て、変わりやすい天気になるという訳です。

厄介な点は、雨雲レーダーに映らない場合があるということ。これは、夏のモクモクとした背の高い雲とは異なり、レーダーに映りにくい低い雲になりやすいのが一因です。お出かけ前にレーダーをチェックしていても予想外の雨に降られるときは、大体この雲のしわざです。

雨がもたらすもの

雨に降られることもありますが、楽しみもあります。それは、変わりやすい天気がもたらす美しい虹です。秋の終わりから冬にかけて、主に日本海側で使われる「時雨(しぐれ)」という天気の言葉があります。これは、一日の中で晴れや曇りを繰り返し、降ったり止んだりする雨のことで、オランダの天気とよく似ています。

時雨のときは虹が出ることが多く、「時雨虹(しぐれにじ)」と呼ばれています。オランダでも虹が出現しやすく、雨の日が続く中での私のささやかな楽しみは虹を見つけることです。太陽を背にして雨の降っている方向を見ると虹を見つけやすくなります。変わりやすい天気の日にはぜひ空を見上げてみてください。

オランダはKNMI所在地のDe Biltの値を記載

平年は1991年~2020年の30年平均

参考:KNMI、気象庁

プロフィール

竹内青空(たけうち あおぞら)

徳島県出身。2021年よりデン・ハーグ在住。インスタグラム(@aozora_takeuchi)でオランダの天気や生活について発信中。日本ではウェザーニューズに所属して気象原稿作成やラジオの気象情報を担当、千葉テレビでも気象キャスターとして出演していました。