アルプスの大雨、スキー場の消滅、気候変動は急速に進む
ここ数日スイスアルプスやオーストリアでの大雨で、多くの旅行者が足止めを食うなどの被害が出ている。地域によっては100ミリの降雨も予想されている。このまま大雨が続けば、ライン川の川下にあるオランダでの大洪水も心配だ。大雨や洪水は明らかに地球温暖化の影響である。
地球温暖化が続けば、ヨーロッパの全スキーリゾートの4分の1が消滅する可能性がある。地球が2度温暖化すると、アイスランドとトルコの間にある分析対象の2234のスキーリゾートのうち4分の1で、平均して2年に1回雪が降らないことになる。これは、『Nature Climate Change』誌に掲載された科学研究の結論である。 もし4度以上上がれば、ヨーロッパからすべてのスキー場が消え失せる。
研究者は、自然の降雪だけでなく、降雪装置の使用も考慮に入れている。とりわけ南ヨーロッパのスキーリゾートでは、地球が温暖化すると人工雪をまったく作ることができないほど暑くなることが多く、作られた雪はすぐ溶けてしまう。
気候科学者のサミュエル・モーリン氏は、英国の新聞でスキーリゾートが直面している状況を「気候変動の観点から見ればニッチな問題」と呼んでいる。「しかし、山に住んで産業に依存している人々の観点からすると、気候変動が経済を脅かしている」とコメントしている。
ここ数年のウィンター スポーツ シーズンは、アルプスの大部分が緑に覆われ、雪ではなく雨が降って始まった。ただ低地のスキー場に対する警告は新しいものではない。国連はすでに2003年に標高1200メートルのスキーリゾートに対し、気候変動による「経済悪化」について警告していた。