オランダ2015年度予算案概要
昨日9月17日プリンシェスダッハにて発表された2015年度の政府予算案の概要である。
医療・介護
・保険料は基本料金が月に10ユーロ程度上がる。年間では最低で1211ユーロの出費となる。
・自己負担は360ユーロから375ユーロへと上がる。
社会保障
・社会支援法(WMO)がこれまでの中央政府の管轄だったのが地方自治体へと移行する。このための費用に4000万ユーロが計上されている。この社会支援法は、高齢者、障害者、精神病者が対象。
・失業保険を支給されている親は6ヶ月間子供を託児所へ預けることが可能となる。これまでは3ヶ月間だった。
・子供関連の予算に1億6000万ユーロ支出。子供のいる家族の購買力を高めるのが目的
・貧困対策に1億ユーロ
住宅
・建設費にかかるVATは通常21%のところを6%に下げられている。これは2015年1月が期限だったものを1015年7月まで延長。
・家を売ってもローンがまだ残っている場合にはそのローンにかかる金利支払いは税控除が可能。これまで10年が最高だったが15年まで延長。
・今年まで家を購入したり改造するために親が子供に無税で100,000ユーロまで贈与することができたが、これは撤廃される。ただし年間51407ユーロまでは無税。
・家賃補助金は3100万ユーロ増加
安全・防衛
・防衛費は世界情勢を鑑みて毎年1億ユーロ増加。
・諜報機関(AIVD)も毎年250万ユーロ予算追加
・警察は6種の特殊犯罪に1000万ユーロの予算。サイバー犯罪、幼児ポルノ、詐欺などが含まれる。
教育
・2015年度から高等教育(大学など)での基本奨学金が撤廃される。そのかわりに別途奨学金が支給されるが、これは政府からのローンとなる。
・奨学金ローンはこれまで15年以内の返済義務があったがこれが35年へと延長。
・教員の給与はこれまでベアなしだったが、今後は増額あり。
文化
・オランダの映画業界には毎年2000万ユーロの追加補助金支給。
経済・雇用
・従業員が人手不足のセクターでの教育を受ける際に、教育期間中失業保険が支給される。
・未来ファンドとよばれる総計2億ユーロの起業ファンドが設置される。イノベーション、化学的な研究を行う中小企業に支給される。
購買力
・政府の試算によれば71%の家計は購買力が増加する。平均0.5%
・月収2600ユーロまでの家計は0.5%の購買力増加。2600−5200ユーロまでは0.25%。そして5200ユーロ以上の収入がある家計では0.75%の増加となる。
・子供のいるシングル親の場合、2.5%購買力は減少する。
経済成長
・2015年の成長率は1.25%と予想
・赤字は146億ユーロとGDPの2.2%に抑えられる。これは欧州が課している3%ラインを下回る。
・国家債務は4672億ユーロとGDPの約70%
・失業者は65万人から60万5000人に減少