個人事業主の就労不能保険強制加入に激しい抵抗

政府は、個人事業主(オランダ語でZZP)が疾病などで就労不能になった場合に生活を保障する保険(AOV)への強制加入を検討しているが、事業主から激しい抵抗にあい難航している。これが導入されると日本人が個人事業主としてオランダで働く場合にも同じ保険加入が適用される。オランダでは個人事業主の数が増加の傾向にあり、特にコロナ禍を境に急増している。とくに介護、教育そして建設業に多い。

これまで企業に雇用されていた人たちが、ワークライフバランスを考えたりストレスを避け、所得増などから、いったん退職し個人事業主として同じ企業に雇用される場合も少なくない。現在オランダには124万人が個人事業主として働いている。しかし、このうち就労不能保険(AOV)に加入している人は20%に過ぎない。
政府は、個人事業主が将来的にも安心して働けるよう、この保険加入を義務付けたい意向だ。

保険に加入するか否かは事業主が自分で決めるべきだと考える人や業界が多い。たとえば、事業主が共同で基金を設立し、この中で就労不能の人に支払うといった、保険会社を通さない方法なども考えられている。強制的なAOV保険料は月額200ユーロを超えるだけでなく、実際に就労不能になった場合に受け取る金額は生活保護レベル。これにより強制加入を嫌がる事業主は少なくない。

政府はこの抵抗により就労不能保険の義務化の再検討が迫られている。