ING銀行トップの給与倍額、社会的政治的な圧力で取り下げに
ING銀行の監査役会は、同銀行のCEOであるラルフ・ハマーズの給与倍額提案を取り下げた。倍額案は適切な選択ではないという批判が一般消費者そして政界からも相次いだため、この結論となった。監査役会のファン・デル・フィア氏によれば「トップの給与問題は企業内だけでなく社会的な考慮が必要」と発言している。公共的なイメージの損傷を防ぐために、給与倍増提案を取り下げたことは正しい選択だと、フークストラ財務大臣はコメントしている。
監査役会の提案はCEOハマース氏の年俸175万ユーロ(約2億2千万円)に300万ユーロ相当の株式というものだった。この金額はオランダではかなり高いほうだが、国際的には同じような役職の年俸としては低い。ユーロストックス50(Euro Stoxx)という大企業50のトップの給与を見るとING銀行は49位と低い。これを当初の提案通り倍増したとしても44位に過ぎない。
最初にこの倍額提案が発表された時点でオランダでは批判が相次いだ。ING銀行の労組だけでなく政府もこれに反対。さらに口座を解約する消費者も続出した。
フークストラ氏は月曜日「ING銀行はお菓子工場ではなく金融機関。金融機関の責任と義務は想像以上に大きい。」と給与の正当性を主張した。これに対し左派である緑の党は給与の凍結に関する法案を提出、これに反対した。オランダではボーナスの上限が年俸の20%以下と法律で規制されているが、給与に関する規定はない。ちなみにこのボーナス規定が足かせになりオランダは英国EU離脱後も国際的金融機関を誘致できなかった。