70年後には海面1メートル上昇、オランダは水没?

ちょうど今から70年前、オランダのゼーランド州、南ホランド州そして北ブラバンド州で2000人が亡くなるという大洪水が起きた。オランダ人の記憶に残る大災害だった。しかし将来の海面上昇はこの大洪水どころではない被害をもたらすかもしれない。このまま気温が上昇すると70年後には北海の海面は今より1メートルも上昇するという予想が出ている。そしてこれはまだ序章に過ぎず、その後はさらに上昇をし続ける。さらに海面の上昇とともに川の水位も上昇する。

川の水位の上昇はこれまであまり問題にされてこなかった。しかし海面が数メートル上昇すると川の水はドイツの国境まで上昇する。川の周辺には水を吸収する十分なスペースが必要となる。これでこれまで築いた堤防は意味をなさなくなる。沿岸地域で淡水を汲み上げると、海水が生産性の高い農地に流れ込む可能性が高くなり、農業に大打撃を与える。

海面上昇は多くの問題を起こす。例えば数十億ユーロの価値があロッテルダムのインフラは、海面が数メートル上昇した場合は、港全体を持ち上げて高くするか、マースに沿って上流の安全な場所に移転するしかなくなる。
オランダの北ワッデン海に浮かぶワッデン諸島は数メートルの海面上昇に耐えることができずどんどん砂が崩れていく。この一部は島の南側に堆積し、島が小さくなり、フリースランドとフローニンゲンの海岸に向かって移動し始める。そしてワッデン海自体は、オースタースヘルデと同じように水没し続けることになる。

多くの人はまだ先の話だと高をくくっているかもしれないが、何も対策を講じなければ確実に起こるシナリオだ。
画像: Ilse van den Broek | Universiteit Utrecht