ウクライナ大統領、オランダ下院にて演説

ウクライナのゼレンスキー大統領は31日朝、オランダの下院にてビデオによる演説を行った。ゼレンスキー大統領はこれまでに米国、日本、オーストラリア、カナダ、ノルウェーなど13カ国で同様な演説を行っている。演説でウクライナへの国際的な支援を得るのが目的である。

演説でゼレンスキー大統領は、「オランダはガスを含めロシアとの取引をすべて中止すべきだ。」と主張。ロシアからガスを購入することでプーチン大統領の戦争に財政的に加担しているとし、「強い制裁で、ロシアがヨーロッパとの戦争を行う資金が枯渇するよう仕向けて欲しい。」と懇願した。またゼレンスキー大統領は、オランダがウクライナに武器を供給するよう呼びかけた。

演説の中で大統領はオランダが過去に経験した悲劇を引用した。1940年にロッテルダムが大爆撃を受けたこと、そしてオランダ人が多く乗っていたマレーシア航空機MH17がウクライナ上空でロシア軍により撃墜されたことを引き合いに出し、「行為は許されない。命令を下した者が責任を取らねばならない。」と語った。さらにゼレンスキー大統領は450年前の1572年4月1日について言及した。このとき、海の乞食と言われていたオランダ人がデン・ブリールから(オランダを占領していた)スペイン人を追い出している。「明日はオランダ人がこの450年を祝う日だ。450年前の専制政治を終了させ、寛容と多様性をヨーロッパに生み出したのだ。その寛容と多様性が今攻撃を受けている。」と、スペインに占領されていたオランダをロシアから攻撃を受けているウクライナに例えた。

ゼレンスキー大統領は、ウクライナのEU加盟を望んだが、ルッテ首相は演説後の記者会見でEU加盟については否定的だった。EU加盟は旧ユーゴスラビアの地域の不安定性につながる可能性があるというのが、ルッテ首相の考えである。