ウクライナ戦争にオランダ(NATO)は参戦するのか?
ロシアがウクライナに侵攻したことを受け、西側国家はロシアを非難し経済制裁を決定したが、実際にNATOが戦線に加わるのか、その後戦火は旧ソ連諸国にも飛び火するのだろうか? 第三次世界大戦をほのめかす人もいるが、その可能性はあるのか?
ハーグ戦略研究所(The Hague Center for Strategic Studies)で戦略分析を行うペーター・ワイニンハ氏は、「ウクライナはNATOに加盟していないため、現状ではNATO軍やオランダ軍が対ロシア戦に加わることは考えられない。」と語っている。
米国とオランダを含むEU諸国、カナダ、トルコなどが加盟しているNATO(北大西洋条約機構)の第5条に、NATO加盟国の一国が攻撃を受けた場合にはNATO全体が攻撃を受けたことになる、とある。NATOは全体一致でこれに反撃する。しかし、ウクライナはNATOのメンバーではない。「ただし」とワイニンハ氏は続ける。ウクライナ国内で民族浄化や多大な難民を生むような人道的危機に直面した場合には、事態は変わる可能性がないわけではない。ユーゴスラビア内戦時にNATOはコソボに軍隊を派遣している。ただこの派遣の正当性についてはいまだに疑問視されている。
クリンゲンダール研究所の安全保障部門のザンディ氏によれば、ウクライナでの参戦より、NATOによるポーランドとバルト海諸国への派兵の可能性はずっと可能性が高い。目的はNATOの結束を見せることでロシアを抑止するためだ。
NATOには、NATO即応戦闘部隊(NATO Response Force)という軍がある。NATO加盟国の25,000人規模の緊急展開部隊である。ポーランドやバルト海3国は、このNATO即応戦闘部隊の出兵要請をすることができる。オランダも事態に備えているとルッテ首相は記者会見で述べている。ただザンディ氏によれば、ロシアがポーランドやバルト海国家に侵攻することは考えられないという。侵攻すればロシア対NATOの戦争となるため、そこまでのリスクはロシアは冒さないと同氏は見ている。
ポーランドやバルト海諸国への派兵はあくまでもロシアに対する牽制である。ワイニンハ氏もザンディ氏も「第三次世界大戦は起き得ない」と語っている。