外国企業子会社がオランダの助成金を受け、親会社は数億ユーロの配当
コロナ対策として政府から給与援助(NOW)を受けているオランダ企業は、株主への配当金支払い、株式買い戻し、そしてボーナスの支払いが禁じられている。配当金が払えるほどの利益を出しているならば、公共資金援助は必要ないという考え方だ。ところが、オランダで支援を受けている企業の親会社が海外にあり、その親会社が利益をあげ株主に配当金を支払っている場合には、この法律は通用しない。オランダの公共放送NOSがこれについて調査を行い、政府へ親会社の配当支払いを禁じるよう打診したが、経済界の圧力を受けこれが却下されたという経過がある。
オランダの給与支援(NOW規定)を受けている大企業25社のうち、スイスの派遣事業アデコ(Adecco)、アメリカの車製造会社ダフ(DAF)、フランスのIT企業アトス(Atos)などが、利益を計上し株主に数十億ユーロの配当金を払っているということがNOSの調査で発覚した。
アデコはオランダ政府から2020年に5500万ユーロの支援を受け取っているが、スイスの親会社は3億6500万ユーロの配当金を支払っている。ダフトラックスは4900万ユーロの支援を受け、米国親会社は6億7600万ユーロの配当金を支払った。
KLMオランダ航空の親会社であるエアフランス・KLMは、8億5100万ユーロの公的資金援助を受けているが、トップのベン・スミス氏はコロナ危機下でも莫大なボーナスを受け取っていることで批判を受けていた。
Booking.com(親会社はアメリカ)は、最初の3ヶ月は政府支援を受けていたが、一昨年50億ドルの利益を上げていたことから、自らこの支援請願を取りやめている。