なぜ映画館は30人までなのに、満席の飛行機はOKなのか?

オランダ公衆衛生環境研究所(RIVM)の感染症対策のチーフであるヤープ・ファン・ディッセル氏は、3日前のインタビューにて「満席の航空機でのコロナウィルス感染は100%ではないにせよ、まずありえない。」と語った。RIVMと政府が義務付けている人と人との距離は最低1.5メートルという規則は飛行機に関しては適用されないのである。
これに対し、オランダのソーシャルメディアでは「1700席あるシアターに30人しか入場できないのに、なぜ飛行機は満席でいいのか?」「隣の人との距離は1.5メートル取れないのに飛行機はOKなのかが疑問」などRIVMの発言を疑問視する声が高まっている。オランダでは6月1日から再開した美術館、劇場、映画館、そして飲食店は、規模にかかわらず最大30名までしか収容できないという規則がある。

この疑問に対し航空機専門家であるヨリス・メルケルト氏が国営放送NOSに次のように語っている。

「航空機の空気循環は信じられないくらい良好だ。特に高度に航空機が上昇すると大気が薄くなるため、空気循環を徹底させる必要がある。機内に送り込まれる空気の大部分は新鮮なものである。一部はHEPAフィルターによって再利用される。このフィルターは病院などで使用されているもので、粒子そして微生物を含む有機物質の99%を空気から取り除くことができる。空気はキャビンの上部で注入され、床で抽出され、垂直流を作り出す。平均して、キャビン内の空気は2〜3分ごとに完全にリフレッシュされる。また、頭上のブロワーもオンにすると、上から下にさらに多くの空気が流れるようになる。」

しかし、機内の安全性に対する反論もある。医師で微生物学者のアンドレアス・フォス氏は、機内の空気循環はレストランや劇場よりいいということは確かだが、隣席の人の発する飛沫は防げないのでは?と疑問を投げかけている。短距離飛行の場合にはマスクでこれが防げるが、長距離の場合には食事などでマスクをはずす時間が発生する。飛行機内での感染の危険はゼロではないということである。また、オランダ国内の交通機関内でのマスク着用は義務付けられているが、航空機に関しては航空会社の裁量によるものとなっている。