オランダ、コロナウィルス検査数が少ないが、今後は?

オランダではコロナウィルスの検査能力(1日に検査できる件数)が低い。これに対し医療担当のデ・ヨング大臣は、26日検査能力の向上のために特使を任命したと発表した。この特使とは、オランダを代表するバイオケミカル企業DSMの元CEOファイケ・シーべスマ氏である。シーベスマ氏は検査に必要な薬品の原料を世界のどこで入手するかに長けており、オランダ国内での検査薬製造を目指すという。

現在オランダでの検査件数は最大2000件に限られている。つまりコロナウィルス感染の可能性があっても検査を受けられない人がいるのが現実だ。デ・ヨング大臣は検査能力を拡大し医療現場だけでなく他の分野でも利用できるようにしたいとしている。

現状では、コロナウィルス感染の兆候がある患者もホームドクターでは自宅療養を命じている。病状が悪化した場合にのみ病院へ行くことができる。ただし病院でもすべての患者がPCR検査(コロナウィルス検査)を受けているわけではない。自分でコロナ感染が疑わしい場合でも個人用の検査キットは入手はできない。オランダのこれまでの対策は、「熱がある人は家から出ない」だったが、今週の月曜日から「同居の家族も外出禁止」と一段階厳しいものとなった。この措置は、国立衛生環境研究所(RIVM)によれば、この対策強化により「韓国の隔離政策」と変わらなくなったという。

しかしながら隣国のドイツを見ると、オランダの検査能力をはるかに上回っている。これは10年前のメキシコ風邪の流行の際も同様だった。なぜオランダの検査能力が低いのか? いろいろな要因が挙げられているが、ひとつには、スイスのロシュ社(Roche)が検査薬を独占しているという調査結果が出ている。デ・ヨング大臣はロシュ社に対し、検査薬に必要な原料を公開するよう求めている。さらに政府はこの一社への依存を軽減するよう独自の検査薬の開発にも力を入れたいとしている。また即時検査キット(これもロッシュ製なのだが)も、現在RIVMとエラスムス医療センターにてその信頼性を調査している段階だ。来週、あるいは遅くとも再来週までにこの結果が出るはずだという。

参照:NOSの記事