安楽死クリニックでの申請数増える

オランダの安楽死を受け入れる「自分の意思で人生を終焉するためのクリニック(Levenseindekliniek)」への安楽死申請が2018年と比較し15%増えている。オランダ全土での安楽死数は毎年変わらないのだが、このクリニックでの申請数が増えているのはどんな理由があるのだろうか。同クリニックによれば、安楽死に対する司法措置が厳しくなったのが背景にあるという。

患者から安楽死を依頼される医師が罪を恐れ、このクリニックに患者を送る数が増えている。今日から「安楽死の専門センター(Expertisecentrum Euthanasie)」という名称に変更される同クリニックは、2012年に医師に自分の安楽死希望を受け入れてもらえないという患者の受入機関として設立された。このクリニックでは設立以来毎月210件ほどの申請があり、この数は常時一定していた。しかし今年に入り申請数は増え続けの7月には308件とこれまでの最高数を記録した。

先日ポートフォリオでも記したが、2017年の初めに74歳の重度アルツハイマーの女性に対し安楽死を実施した医師が「殺人」として有罪となった。この事件以来、医師が安楽死を実施するのを躊躇うようになったのも、同クリニックでの安楽死依頼増加の理由のひとつだと見られている。

同クリニックのサイトによれば、オランダでは毎日400人が亡くなっているが、このうち半数は医師の手による「死を早める」措置によるものだという。耐えられない痛みに対し許容範囲以上の鎮痛剤を与えるなどもこの措置に入る。ただしこれは「安楽死実施」とは見なされていない。

Levenseindekliniek