干ばつによるオランダのジャガイモ不作で世界のポテト加工産業と摩擦
長引く干ばつでオランダのジャガイモの収穫量が通年より少なくなっている。収穫量の減少は農家だけでなく、ジャガイモを加工する国内外の産業にも大きな影響を与えている。例えば、フライドポテトをつくるマクドナルドやKFCといった多国籍企業だ。ジャガイモ加工産業は生産者との間に契約があり、すでに買い付け量や価格は収穫前に決まっている。しかし、今年はヘクタールあたりの収穫量が極端に少ないだけでなく、ジャガイモのサイズも小さい。契約では収穫量が少なかったりサイズが小さい場合には支払い高も減ると記されている。これに対し農家は今年の異常干ばつを理由に契約を破棄し新規契約を結びたいと主張している。これに対し加工業者は契約破棄はありえないとしている。問題は誰がこの干ばつによる被害額を支払うかだ。
オランダで生産されるジャガイモのほとんどがフライドポテト加工業者に購入される。毎年2月に収穫見積もりの80%が固定価格(1キロあたり約9セント)で購入契約が結ばれる。農家は収入が保障されるため、この先払いシステムを選ぶ。収穫量が多かった昨年はこの契約システムでは農家はあまり利潤がなかった。ところが今年は逆である。収穫量が少ないため自由市場では価格が大幅に上がっており、現在キロあたり30セント、この価格はさらに上昇すると見られている。農家は契約に縛られることなく、自由市場で売りたい。加工業者は当然のことながらこれに同意しない。農家は解決策として、今後加工業者が灌漑システム(給水)の費用を負担することを求め現在交渉中である。
オランダで加工されるジャガイモの75%は輸出されている。