英EU離脱で金融機関のアムステルダム移転、可能性は低く

ロンドンに本拠地を置く国際的金融機関がアムステルダムに移転するという期待は、裏切られそうだ。オランダの経済紙フィナンシエル・ダハブラット(FD)によれば、オランダの厳しいボーナス規制が足かせとなり、大手金融機関はフランクフルトやパリを選択するらしい。
国際的金融機関が法外なボーナスを支払う中、オランダの銀行は年俸の20%以上のボーナス支給は禁じられている。この規制はヨーロッパで最も厳しいものだ。EU規制ではこの限度が100%となっており、他国と大きな違いがある。これを嫌うロンドンの金融機関はアムステルダムを避けるという。

それでも企業誘致に熱心なオランダではこのボーナス規制を緩和するという動きもある。昨年ルッテ首相とダイセルブルーム財相は、労働条約(CAO)に属さない従業員のボーナスは年俸の100%まで許可するという特例を発表した。さらに欧州本部がオランダにある企業で従業員の75%以上がオランダ以外のEU国で就業している場合にも、この100%ルールは適用される。

昨年6月イギリスがEUを離脱する決定をして以来、欧州各都市が金融機関誘致にしのぎを削っている。米国の投資銀行ゴールドマン・サックスは、マドリード、ミランそしてパリなどへ従業員を異動すると発表、さらに欧州本部はフランクフルトの可能性が高い。イギリスのHSBC銀行も、今後2年間で1000人がロンドンからパリに異動する。保険会社ロイドは最近ブリュッセルに支店を開いている。

しかし、金融機関以外の企業にとってアムステルダムはまだ魅力的である。デジタル・ネットワークや欧州各都市との接続の良さ、そして住みやすさは、多くの企業、特にスタートアップ企業を引きつけている。