オランダ地裁、極右政治家ウィルダース氏のヘイトスピーチ有罪判決
9日、オランダの反移民政策を唱える極右政治家ウィルダース氏の判決が下された。「オランダからモロッコ人を追い出せ」というヘイトスピーチを行い国民を扇動した罪で有罪判決が言い渡されたもの。この判決によりオランダにおける移民問題はさらに論争を激化させることになりそうだ。
自由党(PVV)の党首が2014年に行ったスピーチに対し、3人の裁判官は「在オランダのモロッコ人に対する侮辱」だと裁定した。スピーチは明らかに特定の人種に対し行われたもので、テレビ放映により最大の効果を得たとし、有罪判決が下されたもの。ただし、政治家であるウィルダース氏の立場から有罪判決のみで十分であるとし、罰金や禁固刑は課されない。
この判決の直後、ウィルダース氏は裁判所の決定を「民主主義と表現の自由の大いなる損失である。」旨のプレスリリースを出し上訴すると発表した。
今回の判決は来年3月に行われる総選挙に大きな影響を与えるとみられる。ウィルダース氏の自由党は「移民問題とイスラム教徒の排除」をマニフェストとしている。その中には、オランダにおけるすべてのイスラム寺院の閉鎖と公共の場所でのコーラン(イスラムの聖書)閲読の禁止が含まれる。最新の世論調査によれば自由党(PVV)は24%という高い支持率を得ている。とくに米国のドナルド・トランプの大統領選出以降支持は高まっており、現連立政権を率いる自由民主党(VVD)を引き離している。判決の結果は、ウィルダース氏の支持をコアな支持者の間でさらに高めると同時に、オランダの移民に対する論争をさらに悪化させ、国民の両極化を進める可能性がある。