オランダ政府機関で「元からいるオランダ人」と「他所から来た人」という単語を廃止

オランダの政府機関である「政府方針諮問科学委員会(WRR)」と「中央統計局(CBS)」は、元からオランダに住む人を表す「Autochtoon」と後からオランダに来た移民を表す「Allochtoon」という単語を廃止すると決定した。一部の人にとってこの「Allochtoon」という単語は苦痛を強いられる差別的な言葉となっていることが、この決定の背景にある。何世代にも渡りオランダに居住し、オランダ国籍を持ち、オランダ語を話し、オランダ社会に溶け込んでいる人も「Allochtoon」に分類されている。

この現地の人を表す「Autochtoon」と他所から来た人を表す「Allochtoon」という言葉は、1971年に社会学者フェルヴェイが、移民、外国人、出稼ぎ労働者を表す中間的な言葉として造語したもので、元来差別的な意図はなかった。しかしながら最近では3世代あるは4世代の移民(とくにモロッコ人)に対して、この「Allochtoon」という単語が否定的なトーンで頻繁に使用され議論の的になっていた。また、移民といっても十把一からげにできないというのも、廃止の理由となっている。最大の移民であるポーランド人、シリア人、ドイツ人に共通項はない。

さらにWRRでは「西洋人」と「非西洋人」という分類にもメスを入れる計画である。この政府機関では、日本人とインドネシア人は「西洋人」で、オランダの植民地から来たスリナム人やアンティール人は「非西洋人」であるという不可解な分類が行われている。
今回の2つの政府機関による決定は政府の決定ではないため、この「Autochtoon」と「Allochtoon」という単語はまだ使われる。

WRRのレポート