「オランダも原発事故に備えるべき」専門家
ドイツでは北ラインランド・ウェストファーレン州で100万錠のヨウ素錠剤を追加で準備する決定をした。この決定は、ドイツ国境付近、オランダのマーストリヒトの南にあるベルギーのティアンジュ原子力発電所での事故の懸念によるものである。この決定を受けオランダの原子物理学者のトゥルケンブルグ教授は、「オランダでも原子力事故に備える準備を強化すべき」とオランダの新聞フォルクスクラント紙に語った。
ドイツのみならずオランダでもベルギーにある2ヶ所の原子力発電所に懸念を示している。ティアンジュとドゥールにある開設から30−40年たつ原発では過去数年に数回ひび割れなどの欠陥事故が起きている。オランダ国境から2kmにあるドゥールの2基はすでに耐用年数を過ぎており、何度か事故が起きている。しかしベルギー政府は今後10年は閉鎖せず操業を続けると発表している。これに対しドイツは国内の原発はすべて5年以内に閉鎖する計画である。
オランダではドイツに先駆け、ベルギー原発から20km以内に住む18歳以下の子供と妊婦用にヨウ素錠の配布に乗り出した。さらに今年の3月には100キロ圏内の18歳から40歳の人にも行き渡るよう1500万錠の追加を決定している。
福島での原発事故後、オランダにおける原発ストレステストを行っているトゥルケンブルグ教授によれば、ヨウ素錠の配布だけでは十分な防御にはならないと、事故の危険性を強調した。事故の起きる可能性はきわめて低いものの、オランダではそのための用意がほとんどできていないという。例えばオランダでは原発から20キロ以内の住民の避難を想定しているが、福島では50キロ圏内となっている。実際には放射能が届く範囲は100キロを想定すべきだとしている。オランダで現在操業しているのはベルギーの国境近くボルセルにある一基である。