イギリスがEU離脱すると、オランダ経済への影響は?

6月23日にイギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票が予定されている。もし離脱ということになるとイギリスとの貿易が大きな割合を占めるオランダ経済にどんな影響があるのか。中央統計局(CBS)によれば、昨年には200億ユーロがイギリスとの貿易黒字、これはオランダ国民総生産高の3%に値する。離脱が決定すればオランダの工業、農業そして鉱業が大きな打撃を受けると、ラボ銀行は分析している。

2015年のオランダからイギリスへの輸出は520億ユーロで、輸入分を差し引くと200億ユーロの貿易黒字が計上されている。オランダの最大の輸出先であるドイツとの貿易収支は420億ユーロ、そしてイギリスに次いで第3位のベルギーは180億ユーロとなっている。イギリスとの貿易収支200億ユーロの半分は工業製品の輸出によるものだが、これに関連する運輸業でもオランダは利益を上げている。オランダが輸出する工業製品は、皮革製品、靴、衣料、メガネレンズ、顕微鏡、コンピュータ、洗濯機など。農業や鉱業でもイギリスのEU離脱が行われれば、関税などで大きな痛手を被ると見られている。

これとは逆にイギリスのEU離脱で利を得るのは、金融部門。ロンドンのシティーへの依存度が減るため、EU各国は自国の株式、金融市場での成長が見込まれる。ちなみにイギリス中央銀行は16日、政策金利を0.50%に据え置くという発表の際、「EU離脱による経済成長への打撃と英ポンド相場の下落に起因するインフレ高進との間で、中銀は難しい舵取りを迫られることになるとの見解」をあらためて表明している。