強風に強いセンズ・アンブレラに逆風

10年前オランダで強風に強い「センズ(Senz)」という傘がデルフト大学の学生によって開発された。これまでの傘の常識を変えた前が短く、後ろが長いアシンメトリーなデザインは、激しい雨風にも耐えられるよう、空気力学を用いている。センズ・アンブレラは日本も含めあっという間に世界中に広まった。ところが、これと似たデザインの傘「ストーマキシ」がインプリバ社から発売され、センズは特許権そして意匠権違反だとしこれを提訴していた。しかし、19日のハーグ地方裁判所で、デザインに弱冠の差異があるためインプリバの傘は意匠権違反ではないという判決が下った。裁判所は、強風に耐える傘の形状はあくまでも技術的な根拠から出できたもので、この技術を使う限りデザインの大幅な変更は考えにくいとし、センズ社の提訴を退けた。

「したがってデザイン上で弱冠の違いがあれば意匠権違反にはならない。」と裁判所。上部と下部のデザインに違いがあると指摘した。センズの設立者であるコール氏はこの判決に失望を隠せない。「僕達がセンズ・アンブレラを発明し、開発し、デザインしたというのに、特許権、意匠権、著作権を盾にしても、偽物には勝てなかった。」と苦い胸中を語っている。