「ABNアムロ銀行、顧客の租税回避に便宜をはかる」 パナマ文書
オランダの大手金融機関ABNアムロ銀行は、顧客が資産をタックスヘイブンに隠すのを積極的に援助していると、経済紙フィナンシエル・ダハブラット紙(FD)とトラウ紙が発表した。これは先週パナマの法律事務所モサック・フォンセカから漏洩した「パナマ文書(パナマペーパー)」に基づいたもので、同文書には21万4000社以上の「オフショア」企業がリストされており、その中には多くのオランダに関係する企業が含まれているという。
ABNアムロ銀行は2008年に上場廃止されて以来国有化されていたが、2015年に再び上場した大手金融機関である。FD紙によれば、同銀行は6社以上の子会社を運営しているが、株主にはABNアムロの名前はなく全く別の株主名で登記されている。たとえば英領チャネル諸島に会社登記しているマーテロ社は、マーテロの税務事務所が英領バージン諸島にある25社の名目上の株主となっており、オランダの税当局は実際の株主を追跡できない仕組みになっている。ABNアムロ銀行は、同じようなスキームで資産隠蔽を可能にする子会社をチャネル諸島とアジアに、最低でもあと5社持っているという。
オランダ中央銀行によれば、銀行が租税回避国(タックスヘイブン)の法律に準拠し、システムの悪用をしないかぎり、架空の株主名で会社を所有することは違法ではないとコメントしている。しかしながらオランダのダイセルブルーム財務大臣は、企業の透明性を高めるため25%以上の株式を所有する株主を中央管理するシステムを提案している。
オランダにはグーグルやスターバックスなど多くの多国籍企業が租税回避の目的で持株会社を設置している。法的には合法であるが、今回のパナマ文書事件を受け、この仕組を見直すよう野党や国民からの声があがっている。