オランダの「EUとウクライナ協定」に関する国民投票がEU政治に影

本日4月6日、オランダで「EUとウクライナの連合協定」の是非を問う国民投票が行われる。この投票は法的な拘束力はないものの、2年前に調印されているこの協定にオランダが国民投票で「ノー」を突きつけることになると、EUのみならずオランダ政府そしてイギリス政府にまで影響が及ぶ可能性がある。

反対票が多数となれば、ウクライナに打撃を与え、結果的にウクライナとEUの連合協定に反対してきたロシアを利することになる。オランダは、ウクライナ東部で起きたマレーシア航空機墜落事故をきっかけにロシアとの関係が悪化しており、賛成派は「反対票はロシアを手助けすることになる」と反対派をけん制している。

総選挙を来年3月に控えたオランダ連立政府は政情が不安定であるだけでなく、国民投票という予想しない事態で揺れている。そこに欧州連合反対派のソーシャルメディアグループ「GeenPeil」が、欧州・ウクライナ協定の批准に関する国民投票という一般国民には不可解なイベントを実現し、オランダのEU決定の賛否を問うことになった。このグループは国民投票に必要な30万人の署名をオンラインで集め、前代未聞な国民投票を可能にしたのだが、ほとんどの国民はこの投票の背景や理由を理解していないという。

しかし、国民投票で批准を拒否するという結果になると、EU離脱を唱える極右のウィルダース氏が率いる自由党(PVV)を間接的に支持することになり、EUを支持する現連立政権の地位を揺らがす。世論調査によれば、極右の自由党は議席数はすでに現首相の率いる自由民主党(VVD)と拮抗している。

さらに今回のオランダの国民投票は、すでにEUで批准された協定を国単位で再度見直すという、EUの存在そのものを揺るがす意味を持つ。さらに、EUの存在を疑問視する傾向が高まれば、6月23日に予定されているイギリスのEU離脱に関する国民投票にも大きな影響を及ぼすことになる。