オランダ、仕事と家庭の両立で女性の負担大きく

オランダでは「家庭での労働分担や女性の社会参加が進んでいる」と一般的に考えられている。ところが、8日に発表されたオランダ社会文化計画局(SCP)の調査結果は、イメージとはかけ離れた実情を露呈している。

男性は女性よりも自由にできる時間が多い。仕事と家庭の両立はうまくいっているし、うまく自由時間を活用しリラックスできる。女性は自由時間にも家事や職場の仕事をしてしまいがちになり、負担感が高まり肉体的、精神的に休むことができない。子供がいるいないにかかわらず、働く女性は同じ感覚を抱いている。女性がパートタイム労働を選ぶのは負担超過にならずに家庭と仕事を両立するためで、このためにキャリア形成機会は減るしパートナーへの財政依存が高まるのは、しかたがないと半ばあきらめている。これが調査結果の概要である。

この調査結果を受け、教育、文化、科学担当大臣のブッセマーカー(女性)は、家庭と仕事の両立のため、しかたなくパートタイムで働く高学歴女性は「才能の損失」だと指摘している。雇用者と男性はこのパートタイム労働の習慣を打ち破るよう努めるべきと強調している。離婚、失業、死別などでパートナーの収入に頼れなくなった場合には、女性と子供はまず経済的困窮に直面するが、現状では、オランダ人女性の半数は経済的に自立しておらず、パートナーの収入に頼っている。

さらに驚く実情がある。家事参加を厭わないというイメージがあるオランダ人男性だが、実情はこれとはほど遠い。フルタイムで働く男性が「家庭と仕事の両立のためには、働く時間を減らすか」という質門に対し、減らすと答えたのは5人に1人のみ、それもあくまでも希望であり、実際に実行する人は少ない。

さて自由時間だが、女性は職場での仕事と家庭やその他の仕事で、なかなかリラックスできないのが現状だ。さらに高齢の親をかかえる女性は、昨今の介護制度の変更から、家族が世話をすることがなかば強要されているため、この負担も大きい。マンテルゾルグと呼ばれる社会による介護参加システム(これまで介護施設が行っていたものを家族、友人、近隣者などが負担する)により、実際に負担を負っているのは女性である。

SCPレポート