イスラム教徒のロッテルダム市長、同性愛者のための難民避難所に反対

オランダ議会は3月1日に、難民避難所で虐待に直面している同性愛者やキリスト教者などの難民申請者に、特別な避難所を提供することを決定した。イスラム教徒の異性愛者が大多数を占める難民避難所で、ゲイなどの性的マイノリティが収容所内で虐待されるという事件が相続いていることから、この決定が行われた。

これに対し、自らイスラム教徒、そして労働党に所属するロッテルダム市長アブタレブ氏はテレビの対談番組で反対の意を述べている。特別な避難所を用意することで、同性愛者が逆に社会から孤立することを助長するという意見である。アブタレブ市長は、昨年オランダの自治体で最も優れた市長として6000人の中から選ばれている。15歳でモロッコからオランダに移住してきたという同氏は貧困の中で勉学に励み、政治家への道を進んできた。イスラム教徒であることで差別も受けてきたが、その政治手腕とリベラルな思想から、多大な人気を得ている。

一方、一般の難民と別の避難施設を要求していたLGBT人権擁護団体「COCオランダ」にはこの数カ月間で21件の虐待が報告されてきた。被害者の多くは苦情の申し立てを渋る傾向があるので、その件数は「氷山の一角」に過ぎないとし、今回の議会での決定を歓迎している。