展覧会の直前に、ヒエロニムス・ボスの絵画がアメリカで発見される

16世紀のオランダの画家ヒエロニムス・ボスの没後500年を記念し、今年はオランダで大回顧展が開催されるが、この展覧会の直前に、ボスの作品が専門家によって発見された。「聖アントニウスの誘惑」と題されるこの作品は、米国のカンザス・シティの美術館の倉庫に1930年代から眠っていた。当初はボスの弟子が描いたものだとされ重要視されていなかった。この発見で世界に残されているヒエロニムス・ボスの作品は25点となった。

ボスは天国と地獄あるいこの世の煉獄をユーモアとシュールさで表した、当時では(そして現在に至るまで)稀な天才画家である。このたび発見された小さなパネルには、聖アントニウスが片方の手で杖を、もう一つの手で水を汲んでいるものが描かれているが、この聖人が神に仕えるために危険に満ちた生活を営んでいることを示唆しているという。そしてその危険は彼の周りに描かれている奇妙な生き物が象徴している。

1516年に没したヒエロニムス・ボスは、今年2016年が没後500年で、2月13日からオランダのデン・ボス市にある北ブラバンド美術館で大回顧展が開催される。この展覧会はボスの展覧会ではこれまでで最大の規模となる。
調査はオランダのボス研究保存プロジェクト(BRCP)が科学的な手法などを使い広範囲に渡って行ったもので、この作品がボス自身によって描かれたものであると確証した。
画像:Bosch Research Conservation Project

ヒエロニムス・ボス没後500年記念イベント