オランダ政府、ギリシアに上陸する難民を即刻トルコへ送還する計画提出

増え続ける戦争地域からの難民は、現在欧州各国が抱える最大の問題となっている。これまでドイツをはじめスエーデンそしてオランダなどが積極的に難民を受け入れてきたが、今年に入りシェンゲン協定を無視し各国で国境警備を行うなど、難民の入国制限が実施されるようになってきた。

今年1月1日からEU議長国となったオランダは、サムソム労働党党首とルッテ首相が中心となり、この難民危機解決に関する提案をまとめた。トルコからエーゲ海を渡りギリシアに上陸する難民は、即刻トルコへ強制送還するというもので、その代わりにトルコに在留する難民のうち年間15万人から20万人を合法的に欧州に受け入れる。この提案が欧州議会で承認されれば、今年の3月か4月から実施されることになる。

シリアなどからトルコ経由でエーゲ海を渡りギリシアに上陸する難民は、ボートの転覆で命を落としたり悪質業者による搾取さらに人身売買などの苦難の道を歩んでいる。欧州に入国しても受け入れ体制が充分でないため収容所を転々とするなど、安住の道は開かれていない。さらに、ケルンでの難民による暴行事件以来、欧州諸国の国民感情も否定的になってきている。この解決策が、トルコでの難民受け入れ体制を強化するよう欧州が財政援助をし、その後トルコから合法的に難民を欧州各国に受け入れるというもの。オランダはこの提案についてドイツのメルケル首相やスエーデンのロベーン首相への根回しを行っており、両国の支持を得ているという。