難民や移民の流入を欧州各国の国民そしてオランダ人はどうとらえているか

押し寄せる難民や経済移民に対するヨーロッパの住民感情は、両手を広げ歓迎する層と不安を抱く層に分かれている。一般に高学歴で高所得の層は難民に対する恐れはほとんどないのに対し、低学歴で貧しい層の人たちは恐怖感を抱き「自国の文化と国民性」を壊す、と排除感情が高い。そしてこれは欧州全体に共通していると考えられてきた。しかし最近オランダの社会文化計画局(SCP)が欧州15カ国で行った調査では、中間的な学歴保持者(例えば職業訓練学校卒)に難民排除傾向が強いことがわかった。欧州全体ではこの層の62%が難民を歓迎できないと答えている。中間層は難民流入による失業という経済的な結果を懸念しているが、この傾向は東欧諸国で強く、オランダも例外ではない。高学歴層は難民に職が奪われることを心配しておらず、低所得者層は失業しても失うものは少ないが、上昇志向強い中間層に警戒心が高まっていると考えられる。

欧州全体で見ると、高学歴者の49%は難民の自国での受け入れに反対ではない。これはオランダでも同様である。さらに、2002年の調査時と比較し、2015年の調査では難民を受け入れるべきと答える人の数は増えている。オランダでも国民全体の30%が難民受け入れを容認するとしている。しかしながら、ドイツで歓迎の傾向が増えていたのに対し、オランダは東欧諸国と同様、この傾向は下降線をたどっている。この傾向は失業率と大きく関係しているとSCPは見ている。

SCP報告書(英語)