KPMG旧本社ビル、高級マンション化計画

5年間ほとんど空き家状態であったアムステルフェーンにあるKPMGの旧本社ビルが、高級賃貸マンションに生まれ変わるかもしれない。会計事務所KPMGが2010年に本社を別ビルに移転してから、この58000平米ある巨大ビルはドイツの不動産投資会社CRIが所有している。住宅としてはアムステルフェーンの中心部や高速道路A9そして公共交通機関にも近いという立地条件は悪くない。ただシュタイナーの「人智学」に基づいた、どこにも直角な部分が存在しないという非常に特殊な建築デザインであることで、住宅に改造するのは難しいと考えられていた。しかしこの建築的な問題をCRIは解決したとみえ、新規に高級賃貸マンションへの転換を計画、現在アムステルフェーン市に許可を申請している。

空き事務所の住宅への改造は住宅不足にあえぐ都市部には朗報である。オランダではオフィスの空き室率が約18%と高い。特にアムステルダム郊外のアムステルフェーンでは、アムステルダム南地区「Zuidas」へと移転する企業が相次ぎ、約30%が空き室状態である。事業用不動産を住宅として使用するのは違法だが、いくつかの障壁を乗り越え当局の許可を得ればこれが可能となる。この旧KPMGビルの住居への転換計画は「現実化する可能性は高い。」とアムステルフェーン市。計画が実施されれば300から400戸の住宅が新たに生まれることになる。