「アンネの日記」フランスの研究者のオンライン公開で著作権論争

第二次世界大戦中、ナチスによる迫害を恐れアムステルダムの運河沿いの隠れ家に住んだユダヤ人少女アンネ・フランクが書いた日記が、フランス人研究者によってインターネットで公開された。研究者2人は、アンネ・フランクが収容所で亡くなり70年を過ぎた今、日記は著作権が消滅しパブリック・ドメインとなっているとオンラインでの公開の正当性を主張している。1993年に制定された欧州の法律では、書籍の独占的な著作権は著者の死後70年たった時点で失われると規定されている。

これに対し、著作権を所有するスイスのバーゼルの本拠を置くアンネ・フランク財団(Foundation)はこの公開を違法だとし反発している。財団によれば、「この日記はアンネ・フランクの父親であるオットー・フランク氏との共作であり、オットー氏は1980年に亡くなったので、著作権はあと数十年財団が所有する」ものであるとしている。オットー氏は1947年に日記の一部を削除し、これを出版している。さらに財団は、日記は1980年代にミリヤム・プレスラー氏により一部書き換えられており、彼女も共著者でありまだ生存しているため、財団が所有する著作権はさらに数十年は存続すると主張している。

日記をオンラインで公開したフランス人の研究者であるイザベル・アタール氏とオリビエ・アーツハイド氏は、バーゼルの財団による脅しには屈しないと発表した。「人類の歴史の本質にせまる声」であるアンネの日記は、世界中の人に無料で読んでもうらうべきだと主張し、著作権そして金銭だけにこだわる財団を非難している。

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