国連気候変動枠組み条約締結で、オランダはどう変わる

12月12日、国連気候変動枠組み条約(COP21、パリ協定)の締結で、世界の気温上昇を2度未満に抑えるための取り組みに合意が行われ世界196カ国の国・地域がすべて、温室効果ガス削減を約束した。国土の4分の1が海面下であり気候変動の影響を直に受けるオランダは、このパリ協定によりどのような反応を示しているのであろうか。

オランダの国営放送NOSのインタビューで、環境保護団体「自然と環境」のトップであるワーヘナー氏は早急な対策をとらねばならないことを強調した。「今世紀末までに1.5度気温を下げるのを目標にするなら、今後1年半以内にダイナミックな対策を実施せねばならない。」欧州では5年以内に現在280基ある石炭火力発電所の大半を廃止する予定だが、オランダも例外ではない。

このほか、企業や個人への影響もある。環境に優しくない企業には増税の可能性があり、これが消費者価格に転嫁される。また家庭でも省エネルギーが進められることになる。10年以内にはすべての新築あるいは改築の家屋には太陽光パネル設置が義務付けられることになろう。

オランダは環境に優しいというイメージがあるが、実際には温暖化ガス排出問題にほとんど取り組んでおらず、代替エネルギーの開発も遅れている。環境保護団体「Urgenda」は長い間政府に対し二酸化炭素排出削減を求め、裁判所で提訴していたが、今年になり勝訴した。「Urgenda」のトップであるミネスマ氏はこのパリ条約締結は歓迎するものの過度な期待はしていないと述べている。ただ「現在フローニンゲン州で採掘している天然ガスも20年以内には枯渇するはずで、これが温暖ガス排出規制の強化に繋がる。」と期待している。このほか消費者が実際に直面する変化では、上記の住宅の太陽光パネル設置のほか、車では電気自動車が主流となるなどがある。エネルギーを大量消費する製品は課税により高くなるが、企業が省エネ対策に投資することで、長期的には価格を抑えることが可能となるであろう。
発電を行うエネルギー企業にも大きな変革が求められている。エネルギー企業団体は2023年までにエネルギー源の半数は持続可能なものにすることを目標にすると発表している。さらに、輸送企業などでもエネルギー源の変更が必要となる。