オランダ地方自治体、「大麻生産を犯罪グループの手から奪い許可制に」
オランダの393の市町村が加盟する地方自治体連盟(VNG)は、大麻の販売、使用そして生産まですべて自治体の管理下に置き許可制にすることを政府に提案した。
オランダでは大麻の販売はコーヒーショップと呼ばれる自治体のライセンスをもつ店舗でのみ許可されており、一般の人が法律に定められた量を自由に購入し使用することができる。ところが、大麻の生産に関してはここ数十年間禁止されており非合法である。大麻の生産が禁止されていながら、販売されるという矛盾の裏には、犯罪組織による生産と流通がある。VNGが作成した報告書によれば、大麻を生産・流通する犯罪組織は、他の非合法ドラッグや人身売買にも手を出しており、大きな社会的問題となっている。
提案書でVNGは「大麻を含むソフト・ドラッグを無料で配布する」あるいは「完全に禁止する」という2つの極端な解決法は、却下している。その代わりに、すべてをライセンス制にすることを提案。コーヒーショップの運営や従業員の教育などに関しても自治体が指導する。これにより犯罪組織とのつながりを断ち切る。さらに、いくつかの自治体では「ソーシャル・カナビークラブ(社会的大麻クラブ)」と名付けた合法の大麻生産の実験を行うことも提案。農場でメンバーが自分の使用のための大麻を生産するというもの。
オランダの麻薬政策は、厳しい政策で薬物を完全に追放することは不可能だという前提に立ち、コケインなどのハード・ドラッグと大麻のようなソフト・ドラッグを分離。ソフトドラッグの販売や使用を限定的に許可することで、犯罪組織が絡むだけでなく健康への害も大きいハードドラッグの使用を減らすことを目的にしている。この政策は、ハードドラッグ中毒者の数を大幅に減らしたという点で効果は出ているが、ソフトドラッグに関しては犯罪組織が絡むという想定外の問題が起きている。