産業界、極右PVV党の台頭によるオランダのイメージの低下を恐れる

18日(日)に発表された最新のTNS NIPOの世論調査によれば、極右移民排斥を唱えるPVV党が150議席中37議席を獲得するまで支持率を上げている。この結果を受け、日本の経団連に当たるオランダ経営者団体「VNO-NCW」の会長ハンス・デ・ブール氏は、「オランダが外国の文化の影響を拒否しているというイメージが高まり、貿易に影響を与えるのではないか」と懸念を表明している。先週は二度世論調査が行われたが、どちらとも37議席、38議席とPVV党の支持は高く、これは現連立政党である労働党と自由民主党(VVD)を合計した議席数よりも多くなっている。

世論調査の結果によれば、昨今の難民危機と難民収容所をめぐる住民感情の悪化などが、PVV党への追い風となっている。デ・ブール氏はPVV党が(連立)政権を獲得するようなことがあれば、オランダの貿易産業へ悪い影響を与えると警鐘を鳴らしている。

PVV党は他の党と連携しない限り政権は獲得できないが、前政権では、自由民主党(VVD)とキリスト教民主党に協力するという形で政権に参入していた。キリスト教民主党(CDA)のブーマ党首は、「いくらPVV党が人気を得ているとしても、絶対に連立は組みたくない」とテレビのインタビューで語っている。PVV党の台頭が経営者団体を憂慮させるのは今回で二度目。前政権当時も、PVV党のウィルダース党首がトルコのエルドガン首相をきつい言葉で批判し、経営者団体がトルコとの貿易摩擦を警戒していた。

さらに党首の人気度ではPVV党のウィルダース氏が4.2点でトップ、ルッテ首相(VVD党)の3.9点を超えている。これまで極右のPVV党は低学歴者を中心に人気であったが、ここに来て高学歴者の中でも支持が高まっている。7月には高学歴者層のPVV党支持率は5%であったものが14%にまで上昇している。低学歴の人も7月時点で21%だったのが37%という結果が出ている。