「戦争の被害者は救わねばならない」オランダ政府、自治体に難民受け入れ拡大を要請

昨日オーストリアで冷凍トラックに乗ったシリア難民70名以上が死亡しているのが発見された。さらにリビア沿岸でも欧州へ向かうボートに乗っていた難民が溺死。中東やアフリカでの戦争や内戦から逃れ欧州をめざす難民は後を絶たず、途中で死亡する人も少なくない。シリアだけでも400万人が国外に脱出している。

オランダにも毎週1700人以上が入国しており、難民を一時的に収容する施設も満杯状態となっている。政府は地方自治体に対し収容所の増加を要請した。難民問題担当次官のダイクストラ氏(VVD党)は、毎日のように自ら自治体の市長らに電話し収容施設の設置を交渉しているという。「戦争の被害者は救助すべき」とダイクストラ氏は記者会見で述べ、地方自治体そして住民への理解を求めている。今年、オランダで難民申請が受理される人の数は昨年の40%増の2万5000人から3万人となる見込み。

さらに、発展途上国援助担当のプラウメン大臣(労働党)は、戦争や内戦の避難者が欧州までの長い道のりで命を落とすのを防ぐため、中東での難民キャンプへの援助金5850万ユーロ(約80億円)を追加支給すると発表した。2011年に始まったシリア内戦の避難民援助に、オランダ政府は1億1400万ユーロ(約154億円)を援助している。シリア、イラクそしてイエメンからの難民の多くは、近隣のレバノン、ヨルダンそしてトルコの難民キャンプに収容されているが、援助金は、住まい、食料などの購入だけでなく、学校や病院の建設にも使用される。レバノンでは120万人そしてトルコでは180万人の難民を受け入れており、この費用は増加の一途である。