ドイツに続きオランダもTTIP交渉の公開を要求
欧州委員会が環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)交渉の詳細を公開しないことについて、オランダ政府は党派を超えこれに抗議、公開を要求している。TTIPとはアメリカとヨーロッパ連合が締結を目ざして交渉している自由貿易協定。両者間の貿易、投資、雇用、情報の行き来をより自由にするため、関税撤廃のほか各種規制の統一や非関税障壁の削減を目ざしている。英語名の頭文字をとってTTIPと略してよばれる。大西洋版、あるいは欧米版のTPP(環太平洋経済連携協定)である。オランダでは消費者団体などから食品安全基準や生産者への影響を危ぶみ、反対する声が高い。
欧州委員会の担当委員であるセシリア・マルモストロム委員が先週発表したところによると、欧州委員会は、次回の米国との交渉の詳細な報告書を加盟国に送らないという決定をした。代わりに、ブラッセルの欧州委員会本部にある特別室で閲覧できるようにするという。ただし、この閲覧室では、報告書の内容を書き取ったり、写真を撮ったりすることが禁じられる。交渉経過の機密漏えいを防ぐという理由からだ。すでにドイツではこの秘密主義に対し「加盟国を代表して交渉に臨んでいるはずのEUがひとり歩きしている」「EUの決定は逆効果」であると、反対している。オランダの議員らはこの措置に怒り、食品安全に関する消費者団体の「フードウォッチ」も「民主主義に対する攻撃」だと抗議している。ちなみに、この交渉内容を非公開にし、関係国は特別な部屋でしか内容を見ることができないという過剰なセキュリティ方式はアジアのTPP交渉でも同様であるという。
野党だけでなく与党である自由民主党(VVD)もTTIPに関する交渉内容はオランダ政府に報告されるべきと憤りを隠さない。交渉のデッドラインである2015年末にはすでにもう間に合わない時期に来ている。締結が遅れると、欧州には一歩譲っているオバマ大統領の任期は終了し、交渉はさらに難航する可能性が高い。