フェルメール「真珠の耳飾りの少女」リサーチで新しい発見

ハーグにあるマウリッツハイス美術館は、2年前から行われているフェルメール作の「真珠の耳飾りの少女」国際共同研究プロジェクトで新しい発見があったと28日発表した。世界で最も有名で美しい絵画のひとつである1665年(推定)にオランダのヨハネス・フェルメールによって描かれた「真珠の耳飾りの少女」。この作品にはまだ謎がたくさん隠されていた。25年前にも同様なリサーチが行われたが、その後絵画解析技術が驚くほど進歩したことで、今回の新発見があったという。

フェルメールはどのようにしてこの素晴らしい絵画を描いたのか?現在見えている絵画の下には何が隠されているのか?どのような顔料を使用したのか?そしてその顔料はどのようにして入手したのか?フェルメールのアトリエから出てから絵画はどのような変更を施されたのか?などの疑問に今回のリサーチは答えている。

一番の発見は、背景。これまで単なる暗いスペースだと考えられていたが、実際には緑色のカーテンだった。数世紀の間の化学変化などでカーテンは全く消え失せていた。さらに、フェルメールは作画中に構成を変えていた。耳の位置、スカーフの形、首の後ろの線など場所がずれていた。
また今回のリサーチでわかったのは、フェルメールは下絵を茶色と黒の様々な色調で描いていたことも、赤外線イメージ検査でこれが判明したのだ。

フェルメールが使用した色の顔料は世界中から取り寄せられたものだということも判明した。当時、(現在の)メキシコ、中米、イギリス、アジア、カリブ海の各地で採掘されていた顔料だ。誰もが目を惹かれるターバンの青(ウルトラマリンブルー)は、現在のアフガニスタンから持ち込まれたラピスラズリ石を原料としている。フェルメールが絵画を制作していた17世紀当時、このラピスラズリは金よりも高価だった。またリサーチでは、石をまず高熱で熱し、これを砕いて顔料にしていたこともわかった。これによりより鮮やかな青が生まれるのだ。

さてこの少女が誰であったのかという疑問だが、これについてはまだ謎のままだ。ただ、現在少女の目にはまつげが全くないが、レントゲン写真によればフェルメールはうすいまつげを描いていたということが判明した。「今回の発表はまだ中間報告。今後解析技術の発展によりもっと多くの発見があるはず。」とマウリッツハイス館長。

フェルメール・リサーチプロジェクト(英語)