中国からの渡航者に対するEUの規制は効果があるのか?

拡大する中国でのコロナ感染に対し、EU諸国は中国からの渡航者への検査を義務付けたい意向だ。3年間の外国旅行禁止が撤廃された現在、中国からの旅行者が次々と欧州へやってきている。本日午後27国の代表が集まって開催されるEU会議で、中国の旅行者は出発前に検査を受けることになどの規制について話し合われる。

イタリアは、すでに中国からの旅行者は到着時にコロナ検査を受けることを義務付けている。フランスやスペインは陰性証明書の提示を求めている。これに対し、オランダは規制の有効性をあまり重要視していないため、なんの規制も行っていない。ただしKLMオランダ航空は乗員の間で感染の心配が広がっているため、中国便では機内でのマスク着用などが義務付けられている。

オランダを含むいくつかの国では中国からの旅行者に対し、なんの対策も講じていない。すでに欧州でも同種のウィルスが存在しており、多くの人が免疫を持っているという見地からである。これは欧州健康局(ECDC)も同様な見解である。オランダのウィルス専門家も、中国からの旅行者を区別することにあまり意味はないと語っている。もし規制をするなら1ヶ月前にすべきだったので、今始めてもほとんど意味がないという。

さらに今回の規制に関する問題点は、今回の中国での感染状態についてほとんど正確なデータがないことである。いったいどれだけの人が感染し、何人が入院し、そのうちどれだけの人がICUに入り、そして死亡したかというデータが欠如している。

国際航空機関であるIATAは、中国人旅行者に対する規則の強化に合意していない。ウィリー・ウォルシュ議長は「政府がパンデミックから教訓を学んでおらず、同じ効果のない措置を再び導入していることは残念だ。」とツイートしている。IATAによると、渡航制限と渡航者検査は、コロナのパンデミックでは「効果がない」ことが証明されている。