コロナ危機により大打撃のオランダの園芸産業、政府の救済を求める

オランダの農業製品輸出高は米国に次ぎ世界2位という高いレベルを誇っているが、今回のコロナ危機により主要国への輸出が不可能となり打撃を被っている。中でも花や植物を扱う園芸業は輸出が売上のほとんどを占めているため、一番の輸出先であるフランス、イギリス、ドイツがコロナ危機で門戸を閉ざしたことは大きな痛手だ。売れなくなった花や植物はそのまま廃棄処分されている。オランダの園芸製品の輸出高は2019年には62億ユーロと史上最高を記録、世界の花卉市場の35%を牛耳っていた。業界で働く人は15万人いる。

温室栽培業者は廃棄処分を少しでも減らすために、温室の温度を下げ植物の生育を遅くさせるなどの工夫をしている。ただし、この方法も収穫を数週間遅らせるだけで、コロナ危機の収束まで持つかどうかはわからない。チューリップやバラなど春の花が輸出できず、売上は通年の半分以下。業者のひとりは、先週300万本の花を廃棄し肥料にしたと語っている。

オランダの園芸業は大規模経営がほとんどで、巨大な施設設備だけでなく、従業員数も100人近いところも多い。一週間に50万ユーロの売上を失うという業者も少なくない。資金が底をついたら銀行の融資を頼むしかないというが、イギリスやドイツがいつ輸入を再開できるのかが見えないため不安は大きい。1週間で2億ユーロ近くなる一年で一番の売上を記録する母の日も、今年はいったいどうなるのかと業者の不安は隠せない。

政府はコロナウィルス蔓延で閉鎖を余儀なくされた業種に対し資金援助を行っているが、園芸業は通常春が一番の稼ぎ時であるため、今回の救済計画には含まれていない。政府は今週中に救済措置を見直すと述べている。