ユーロ安でガソリンさらに値上がりか
現在ユーロは対ドルで最下の状態にある。20年前のときのように1ユーロが1ドルに近づくのも時間の問題だ。原油はドル建てなので、ユーロ安はもろに影響を受け、ガソリン価格が上昇するだろう。
ユーロ安の要因は主として2つある。まずはユーロ圏の景気後退への懸念。もうひとつは米国の金利がユーロ圏よりも高いため資金が米国に流れていること。この2つの要因からユーロの価値が下がりドルが強くなっている。
ユーロ安は消費者にとって不利なことが多い。とくに現状ではこれが顕著である。原油取引はドル建てなので、ユーロ価格は上がる一方だ。原油価格は実際には先週かなり値下がりしたが、ウクライナ戦争の終焉が見えないため、これも一時的と見る専門家も多い。ただ食品などの消費者製品に関しては値上がりはあるものの、このドル高による影響はそれほど強くはない。米国から輸入する食品がそれほど多くなく、対ユーロで通貨価値が低い国あるいはユーロ圏内からの輸入が多いからだ。
ユーロ安で恩恵を受けているのは一部の旅行業界と輸出業界である。対ドルのユーロ安で米国からの欧州への観光客が激増している。また米国も欧州からの輸入を増やしている。しかし、ユーロはドル以外の他の通貨に対しては強いため、米国以外からの観光客を引き寄せるのが難
ユーロ安はインフレにも悪影響を及ぼしている。先月オランダのインフレ率は8.6%だった。このため欧州中央銀行(ECB)は今月後半にも主要政策金利を上げる計画だ。金利が上がることで消費に足止めがかかり製品の需要が減る。これにより消費者価格が下るという目論見だ。
しかしこの景気後退懸念でECBの金利の値上げ幅は予想より高くならない可能性もある。金利上昇は経済成長を後退させるため、これは避けなければならない。ECBの利上げ決定は今月末になる。