オランダのガス貯蔵庫、枯渇状態

ガス料金が恐ろしいほど上がっている中、ウクライナ戦争でロシアからのガス輸入が止まるという状況で、オランダのガス貯蔵は枯渇状態にある。唯一の解決法は、運用を止めたフローニンゲンのガス採掘を再開する以外にないかもしれない。

ガス需要が高かった冬は過ぎたが、これでガス供給問題が解決したわけではない。通常地下貯蔵庫のガス充填は4月に始まり、10月からの需要増加に備える。ところが今年はこの予備貯蔵ができない状態だ。オランダには地下ガス貯蔵庫が3箇所ある。ドレンテ州のNorg, フローニンゲン州のGrijskerk そして北ホランド州のBergemeerだ。このうちNorgとGrijpskerkの貯蔵庫は国営だが、オランダの需要の3分の1を供給するBergermeerは民間企業が牛耳っている。そしてこの企業の40%はロシアの国営企業ガスプロムが所有している。その部分が昨年まったく補充されていなかったため、数十年で最大のエネルギー危機の間は役に立たなかった。

アムステルダム大学の国際経済学ワインベルヘン教授は、これはオランダの戦略的誤りによるものだと指摘している。 「当時、経済省は強制条項を追加すべきだった。つまりガスプロムにも貯蔵を維持することを義務付けるべきだった。」

このガス不足を解消するには2つの選択しかない。どちらもオランダ政府としては痛みを伴うもので極力避けたい選択である。石炭かフローニンゲンのガス採掘だ。石炭はガス発電を補うもので、約25億立方メートルの天然ガスを節約できる。(オランダでの年間使用量の約7.5%)。ただ石炭発電はCO2排出量が増加する。

そしてもうひとつの選択であるフローニンゲンのガス採掘の再開。採掘による地震と家屋への被害で、ガス採掘は中止になったばかりだ。これを再開するのは政治的な問題が伴う。しかしフローニンゲンでのガス採掘が始まれば、数10億ユーロにのぼるロシアへの支払いがなくなるという利点がある。また一時的でもヨーロッパのガス価格を安定させることが可能となる。