北海のガス田、採掘の可能性拡大でガス不足の解決となるか
オランダはこれまで北海やフローニンゲンでガスの採掘を行っていたが、コストや採掘による地震などで生産が減少していた。
経済気候変動省の依頼により調査を勧めていたTNO(オランダ応用化学機構)は、北海(ワッデン海)にこれまでの予想以上の天然ガスが埋蔵していると発表した。ロシアの戦争制裁によるガス価格の上昇のため、北海のガス田を閉鎖せずに長く採掘を続ける可能性が高い。新しいガス田を開発し採掘するのにはコストがかかるが、それでも長期的なガス価格の上昇を考慮すると、有利になるとTNOは見ている。このため政府は北海のガス田の採掘許可手続きを早める意向だ。欧州の深刻なガス不足がこの早急な判断の背景にある。
TNOの調査で、採掘可能な天然ガスの合計が 168 億立方メートル上方修正された。同省によると、北海のオランダ領では、合計 782 億立方メートルのガスがまだ採掘可能。
オランダはが昨年北海で生産したガスは 89 億立方メートル。家庭や企業によるオランダのガス消費量は長年にわたって 400 億立方メートルだったが、ガス価格の高騰により現在は約 300 億立方メートルまで減少している。2018年に内閣が地震問題でフローニンゲンのガス栓を閉めることを決定して以来、オランダで使用されるガスのかなりの部分が輸入に頼ってきた。
長年の間海上のガス田開発は利益が出ないため見放されていた。一立方あたり20セントという価格では採掘してもコストをカバーできず、採掘プラットフォームが売りに出されていた。しかし1立方あたり2ユーロという価格で取引されている今、北海でのガス採掘が企業にとって魅力的になってきた。
しかし環境団体は北海でのガス採掘に反対。ガス採掘により他の環境に優しいエネルギー開発に遅れをとるというのがその理由だ。また昨今のガス不足を補うものではないとコメントしている。
政府は、北海での採掘はロシアで採掘するガスよりも環境保護を重視し、フローニンゲンでの地震の心配もなく、米国から輸入されている液化ガスよりも環境に優しい、とこれに反論している。ただし、生産が順調に行くまでは4年から5年かかるという。