生き残りのため、飲食店の値上げ相次ぐ

コロナ禍も収まりつつあり、飲食店が再開し賑わいを見せている。しかしメニューに載っている価格はコロナ以前と比べ高くなっている。食材や光熱費の値上がりで価格を上げないと採算がとれないからだ。

あるカフェのオーナーは「ビールの卸値が2001年には50リットルで1.37ユーロだったのが、今では3.37ユーロ。牛肉も25%値上がりしているし、豚肉も1週間でキロあたり1ユーロ上がっている。バターも5キロで30ユーロだったのが今では46.5ユーロ。」と食材の値上がりを嘆いている。さらに人件費が追い打ちをかけている。4月1日から労働協約で給与は3.4%上がる。人手不足のため、新しく雇う従業員にはさらなる上乗せが必要になる。「利益率は10%あれば満足だったが、原価が25%も上がっているとなれば、値上げは必須だ。」と同オーナー。

オランダ人が一日に何杯も飲むコーヒーも値上がりが続いている。コーヒー豆が不作で豆の値段が20−25%も上がっている。これに光熱費の値上がりが加わって、店で飲むコーヒーの価格も上がっている。

飲食店が直面しているのは、食材の値上がりだけではない。コロナ禍期間のロックダウンから引きずっているキャッシュフロー不足問題だ。キャシュフローがないため、新規投資ができなかったり支払いの大幅遅延が起きている。業界団体のオランダ飲食業協会(KHN)は、飲食店はこの問題を顧客に転嫁すべきではないと考えている。政府はロックダウンで飲食店閉鎖を義務付けたのに、100%の補償はしなかった。これにより被った損害は消費者が負担すべきではないとコメントしている。