新政府、水素エネルギーを推進か
新政府はオランダの水素エネルギー産業の振興に数10億ユーロの予算を計画している。350億ユーロという気候変動対策予算の中でも、この水素エネルギーが最大の受給者となりそうだ。脱炭素分野で遅れが目立っていたオランダは、今回気候変動対策に大きな予算を割り当てている。化石燃料からクリーンな代替燃料への脱却で、欧州トップをめざすという。
これまで政府は水素エネルギーについてほとんど関心を払ってこなかった。太陽、風力エネルギー、そして原発などは連立政府の計画に含まれていたが、今回この水素エネルギーが脚光を浴びている。2030年までのCO2排出量の大幅減少のために、この水素エネルギーに力を入れそうだ。
水素はオランダにとって戦略的に重要だ。製油所や化学工業の原料として使用されている可燃性の軽質ガスは、天然ガスから作られてる。これによりCO2排出は免れない。このCO 2を回収して地下に置くことにより、この水素生成は比較的安価に「クリーン」に生産可能だ。ただ水を電解槽にて水素と酸素に分けるには、膨大な量の電力が必要だったため、なかなか前進しなかった。
現在、北海の風力発電ファームで作られた電力をこの電解槽に利用したり、モロッコなどの太陽と風に恵まれている場所での電力を使い水素を生産し、パイプラインで欧州に運ぶといった計画が考えられている。
さらにオランダで電解槽構築計画を示しているエネルギー部門の多国籍企業も多い。たとえば、ドイツのエネルギー会社RWEは、12月末にエームスハーフェンに50MWの電解槽を建設する許可を得ている。オランダ企業HyCCも3つの電解槽建設を計画しており、鉄鋼メーカーのTataスチールやエネルギーグループBPなどと協力している。シェルは今週、マースフラクト2上に構築される200MWの電解槽を注文したと発表している。