ロッテルダム港、世界のドラッグ密輸中継地に
オランダは違法ドラッグ流通の中心になっている。数千キロのコカインがロッテルダム港経由でオランダに入ってくる。そこから欧州各地へと運ばれるのだ。先週には4000キロという莫大な量のコカインが押収されている。
ドラッグは他の製品が積まれたコンテナに入れられてロッテルダム港に入る。先週押収された4000キロはその一部に過ぎないと言われている。コンテナに侵入しドラッグだけを取り上げて、港から外に出す「ピックアップ係」は若者の仕事で、この2週間で100人以上が逮捕された。なかには14歳の少年も混じっていた。この「ピックアップ係」は、一回の仕事で15,000から30,000ユーロを稼ぐことができ、コカインも貰えるということで、犯罪予備軍の若者に人気だという。
異常に高い報酬だけでなく、捕まってもリスクが少ないことが若者をこの仕事に駆り立てている。港湾に違法侵入したのが見つかっても罰金95ユーロが課されるだけ。最近では、港に置かれている空のコンテナの中に住み、ドラッグが積まれたコンテナが陸揚げされたと知らされると、これを取りに行くという若者も増えている。ただし、酸欠で死にそうになったというケースが9回もあった。
あまりにも軽い刑罰に業を煮やした検察は、刑罰を重くするよう議会に働きかけている。現在上院では、港湾への違法侵入に対し1年の禁固刑が討議されている。これによりピックアップ係を目指す若者が減ると見られているが、それでもドラッグ中毒者や精神異常者など、なり手はいくらでに」いる。
ただ、ピックアップ要員といった下っ端の犯罪者を逮捕しても、ドラッグ密輸はなくならない。上には巨大ドラッグマフィアがいる。さらに、ロッテルダムのドラッグ問題は、巨大犯罪組織だけでなく、犯罪組織から賄賂を受け取っている港湾従事者や税関職員に至るまで根が深い。賄賂に塗れた港湾職員たちは、港湾に入れる偽物のパスを偽造したり、監視カメラを止めるなど、犯罪組織に加担するという、まるで映画やテレビドラマの世界がロッテルダム港で繰り広げられている。
(画像:Markus DistelrathによるPixabayからの画像)