5月5日のオランダ解放記念日はなぜ5年に1度しか休日にならないのか?
第二次世界大戦の終戦を、オランダでは5月4日と5月5日に祝う。1940年のナチス・ドイツによるロッテルダムの空爆後、オランダは7日間で降伏。その後1945年までドイツの占領下にあり、過酷な収奪と、レジスタンスやユダヤ人に対する弾圧が行われた。
当時オランダで暮らしていたユダヤ人は14万人いたが、そのうち11万以上がオランダ国外の強制収容所へと移送されている。そのうち戦後まで生き延びていたのはわずか6000人だったという。5月4日は戦没者追悼記念日で、戦争や収容所で命を落とした人を偲ぶ。昨日行われた戦没者の追悼は、コロナ感染防止のため昨年と同様、国王夫妻や首相など数名の参列者のみがアムステルダムのダム広場で行われた。
5月5日はナチスドイツ軍から正式に解放された解放記念日。オランダ人は戦争からの解放の自由だけでなく、自由そして平和を祈る。各地でコンサートなどのイベントが開かれるが、今年はこれも中止。この日は数少ないオランダの祝日だが、休日(有給休暇)となるのは5年に1度のみだ。前回は2020年だったので、次に休みとなるのは2025年。さて、なぜ5年に1度なのだろう?
祝祭日は必ずしも休日ではないという法的な決まりがあるからだ。経営者と労組はこれについて同意している。
オランダには、元旦、クリスマス2日、イースター、昇天祭、降臨祭といった祭日が10日間あり、ほぼすべてが有給休暇となっている。ところが解放記念日のみが5年に1度なのだ。これは1959年に経営者団体(AWVN)と労組団体が取り決めた約束が、いまだに通用しているからだ。5月5日の前後にはイースター、昇天祭、降臨祭といったキリスト教の休みが多いため、5日を完全な休日にする必要はないというのも理由のひとつだ。
しかし、オランダは世界でも有数の祭日の少ない国であることから、5月5日も毎年休日にしようという動きも経営者の間で起こっている。また、キリスト教の祝祭時での休日を、他の宗教の休日と置き換えるのも可能という企業もある。例えばイースターには働いて、イスラム教のラマダンの終了を祝う日に休むという選択も可能にしている。ただ、オランダは祝祭日は少ないが、有給休暇日が多いので、5月には学校の5月休みに合わせて5日も休暇を取る人が多い。