ABNアムロ銀行マネーロンダリングで罰金。大銀行で何が起きていたのか?

オランダの多くの金融機関での口座開設が非常に厳しくなっている。この背景はいったい何があるのだろうか。
先週オランダの大手銀行ABNアムロ銀行が、マネーロンダリング(資金洗浄)規制違反で検察の捜査を受け、月曜日に4億8000万ユーロ(624億円)の罰金が課せられた。

犯罪組織のマネーロンダリングやテロ資金の資金調達には銀行が大きな役割を果たす。オランダ検察によれば、ABNアムロ銀行は2014年から2020年までの間、これについてほとんど内部監査や監督が行われていなかったという。同銀行はオランダ国内のマネーロンダリングやテロ資金調達に構造的にかかわってきたと、金融警察(FIOD)の調査が裏付けている。

例えば、犯罪行為を示唆するような現金の入金も取り扱っていたり、ほとんどの顧客の身元調査が簡易的に行われるだけで非常に手薄であった。この管理の甘さからABNアムロ銀行の講座を悪用する顧客が増え、取引に関する監督も内部でほとんど行われていなかった。ここ数年ABNアムロ銀行は監督を強化してきたが、それでも十分ではなかったという。そこで銀行を通じたすべての違法行為を防止するために「金融犯罪監視プログラム」を発足、システムと人員を投入している。現在行員の5人に1人という大量の人員がこのプログラムに従事。20億ユーロという予算がこれに振り分けられた。

この責任はいった誰にあるのか? 同銀行は特定の個人に責任は問わずにいるが、検察は当時の取締役会に責任があるとしている。2009年から2017年まで取締役会会長であった元財務大臣のヘリット・ザルム氏を現在取り調べ中。
他の銀行でも監視不足は指摘されており、3年前にはオランダ最大の銀行であるING銀行が7億7500万ユーロの罰金を課せられている。2010年から2016年の間に数億ユーロが資金洗浄されていたという。