上がり続ける不動産価格と深刻な住宅不足

コロナ禍にもかかわらず住宅価格は上昇を続けている。これはオランダ人だけでなく、オランダに仕事や留学で滞在する人、オランダに移住する人にとっても大きな問題となっている。

購入価格も20年前の2000年が平均17万ユーロであったのが、昨年12月には33万ユーロとほぼ倍増している。上昇しているのは売家だけでなく借家の場合も同様で、賃貸住宅そのものを探すことすら難しくなっている。この価格上昇の一番の原因は住宅不足だ。一昔前は高齢者は老人用住宅などに移ったが今では自宅でそのまま暮らす人がほとんど。人口は増え続け国外からの就業者も増加している現在、とくに若い人が住宅を探すのは至難の技だ。

オランダには住宅不足からホームレスになった人が4万人もいる。これらのホームレスは野外で暮らすわけでなく、ほとんどが友人や家族の家を転々として暮らしている。このほか、正式な住居ではないバケーション用の家やキャラバンなどで暮らす人も6万人いる。また通常オランダでは義務教育が終わると親元から離れ自立していたが、住宅不足から大学や就職しても親元で暮らす人が増えている。

さてなぜ住宅価格が上昇しているのか。背景には経済成長と住宅ローンの金利下落による購入者の増加がある。家賃を払うよりもローンを組んだほうが安いからだ。また、金融危機で新規の住宅建設がストップしたことが住宅不足に拍車をかけてきた。そして、オランダへの移住者数の増加や高齢者が住居を保持し続けることによる住宅不足である。

解決法は住宅供給を増やすことだ。住宅建設に拍車をかけるだけでなく、たとえば、空いているオフィスビルを住宅に改造したり、恒久的ではない仮設住宅を増やすなどが考えられる。